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探偵の知識

息子に対する虐待を理由として、夫に離婚を求めた場合、認められるのでしょうか。

2025年11月19日

離婚をめぐる法律とトラブル解決相談129
梅原 ゆかり

虐待の事実が認められ、改善の可能性がなければ認められる可能性は高いでしょう。

 たとえば夫が「しつけのため」と称して息子さんにきつくあたっている場合、夫には悪いことをしているという自覚がないこともあります。このような場合、たとえ裁判所を通して離婚を請求したとしても、夫に子どもへの愛情があり、家庭生活を継続させる意思がある、と判断されて、すぐには離婚を認められないかもしれません。しかし、虐待としつけは全く別のものです。夫に誤りを気づかせ、子どもの安全と精神的安定を図ることが最も優先されるべき事項だと思われます。夫婦で話し合いをしても夫の暴力がやまない、という場合には児童相談所や民間の相談機関(家庭問題情報センター http://www1.odn.ne.jp/fpic/、児童虐待防止協会 http://www.apca.jp/など)、各地の保健所などに相談し、子どもの一時保護や家族全員でのカウンセリングを受けることも考えてみましょう。さらに、夫婦間の話し合いの場として家庭裁判所に「夫婦関係円満調整」を目的とした調停を申し立てるのも1つの方法です。調停が「暴力行為をやめるように」という内容で成立し、夫が態度の改善を約束したにも関わらずその後も虐待が続くようであれば、裁判上の離婚理由の1つ、「婚姻を継続しがたい重大な理由」(民法770条1項5号)があった、として離婚が認められるでしょう。